我妻昇工人の工房を訪問した話

8月のよく晴れたある日のこと、我妻昇工人の工房にお邪魔してきました。

残念だが工房の写真はないぞ。

誇らしげに言うな。

我妻昇工人は形式にこだわらない自由なこけしに定評がある一方、伝統型にも真摯に向き合う、そんな作風の工人さんです。

以前、安心と信頼のこけしのしまぬきさんでの展示販売会で工房に遊びに行きたいとお伝えし、念願かなっての訪問でした。

工房にて

まず、工房では修業中の頃の作品を見せていただきましたが、今と全く作風が違うのです。
画像がないからわかりにくいですが、初作は師匠の型を必死に真似していて、線も太い印象でした。

時代によるこけしの変換を見るのは楽しいな!
詳しくは後程!!

また、こけしの本を一緒に眺めて、昇工人の系列の祖・松之進こけしの楽しみ方を伝授していただきました。

本の内容は著作権的にまずいから載せないことにするぞ☆
気になったらKokeshi Wikiを参照してほしい。


松之進こけしは戦前の作品にもかかわらず、時代を先取りしているとしか思えません。
色褪せないデザインがこけし愛好家を魅了しているのです。

昇工人はほかの工人さんの影響は受けたくないようで、インスタのフォローはしないように努めているとのことでした。
また、こだわりを持った時点で考えが凝り固まってしまう一方、着物などの資料を参考にするときは構造をきっちり調べてからこけしを作るといった律儀さ・探求心があり、自由なこけし作りに欠かせない柔軟な考えをお持ちの方でした。

昇工人の価値観、孤高のアーティストそのものでした。

こんな紹介だが、物腰柔らかく丁寧に接していただいた。
ありがたや。

最後に、松之進型こけしを注文して別れの挨拶をしました。
届くのは1~2年後になるとのことで、今からとても楽しみにしています!

届いたらブログにアップする予定だ!!

我妻昇工人の作風の変換

ようやくここから画像のターンだ!

左から2018年作、2022年作、2024年作です。

2018年作

はい。保存状態が悪く日焼けさせてしまいました。
髪の毛は内側に流れ、小顔な印象です。
昇工人曰く「より目」とのことで、言われてみればこちらから見て左側の目の中心余白が少なく見えます。
近年は黒目が大きいのが好まれるので、時代に合った子だと思っています。
寸法が小さいからなのか、重ね菊の余白が少なく感じます。
みっちりした重ね菊が華やかな一品です。

2022年

この子が来た頃には棚にカーテンが引かれ、日焼け対策は万全になったはずです。
輪郭は四角形になり、顔のパーツは下側に偏るようになりました。
髪の毛が内側に広がっていることも相まって、ますます小顔効果が出ていると思います。
よ~く見ると線の入りが細くなり、より繊細な表現ができるようになったことを感じ取れます。
まさに2018年作の子がさらに進化したような顔立ちです。
胴模様も線が細く、余裕ができたようにも見えます。

2024年作

はい。あえて今までのことは系統が違う子を選んできました。
自由に作ったというよりは、松之進こけしリスペクト色の強い顔の作りです。
比較対象には向かない作風の子だと思います。はい。
しかし口紅はさらに細くなり、ますます繊細さに磨きがかかったようにも感じます。
重ね菊は斜めに描かれ、伝統型をこんなにおしゃれにアレンジできるのかと思い、この子を選んだのです。
あ、伝統型も非常にファッショナブルですが。

さて、2025~2026年ころにやってくる子はどんな作風になっているのか楽しみです。

まとめ

こけし工人さんの工房を訪問すれば、こけしちゃんを注文できるだけでなく、工人さんの人柄にも触れることができるのでおすすめです。

最後に。我妻昇工人へ、今回は工房を拝見させていただいたうえ、貴重なお話を聞かせていただき本当にありがとうございました!!!

これからもすてきなこけしちゃんをお待ちしています!!!

おまけ

やっぱ自分こけし工人になりたいわ

何事も自分でやり遂げる覚悟はあるのか?
病気や過労で倒れない覚悟はあるのか?

それでも、人生やりたいことはやったもん勝ちだと思うのさ。

こけしの修業は甘くないぞ。

そうだよな…人生って何だろう。

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