佐藤重之助工人のこけしちゃん

今日は、肘折きっての個性派・佐藤重之助工人のこけしちゃんを紹介したいと思う。

連れてきた経緯

このこけしちゃんは秋保工芸の里の我妻敏工人からこけしの整理という名目で譲り受けました。
なんでも、50年も前に作られたビンテージこけしちゃんとのことで、私よりも長く生きている人生の先輩です。

ちなみに、敏工人はなかなかにキャラの濃い方でしたが、このこけしちゃんを譲り受けたときに、律儀にこけし辞典の重之助工人のページを見せてくださったりと、気前のよい方でした。

本当は我妻敏工人のこけしちゃんも欲しかったのだが、予算の都合上また今度という流れになった。無念。

以前、青葉こけし会さん主催のこけし展で重之助工人のこけしが展示されていて、「肘折の風土を一番表しているのはこの人のこけしだ(要約)」と紹介されていました。
それ以来重之助工人のこけしが気になっていましたが、物故工人なので入手は難しいだろうとあきらめていました。
そこで奇跡的にご縁があって、我が家にやってきたのです。

こけしちゃんの特徴

敏工人からは「うまく描こうとはしていない」と紹介されました。
確かに線は太く均等ではないのですが、その分目力や、いわゆる「泥臭さ」にくぎ付けになりました。
左右非対称なので、首をかしげていてあざとく、愛嬌のある子だと思います。
また、肘折系独特の写実的な唇を見て、かつて肘折温泉にはこんな口元の子がいたのかなあと想像するのも楽しいです。
ちなみに、こけしについて詳しくない父に見せたところ「なんじゃこりゃ、強烈だ!!」と驚いていました。

その泥臭さは肘折温泉の山奥で雪深く(なんでも全国屈指の豪雪地帯だとか!!)、都会の文明が届きにくい風土を感じ取ることができるこけしちゃんです。
といっても、近年の肘折温泉は観光整備されていますが、整備される前のひなびた湯治場だったころの肘折温泉を偲ばせます。
また肘折温泉に行きたくなりました。

肘折温泉はいい湯だった。
某温泉宿の女将さん曰く「温泉しかない」と謙遜していたが、湯治目当ての私としては最高だったなぁ。

まとめ

そんなわけで、アンバランスさがかえって自然な味を出している、それでいて不思議と愛嬌のある素敵なこけしちゃんだと思います。
ご縁があってよかったです。

というわけで、これからも定期的に我が家のこけしちゃんについて紹介したいと思います。

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