こけしの系統って?最大12種類もあるって本当?

こけしには産地によって個性の違う、12種類の系統に分けることができます。
ここではこけしの産地と、12系統の解説をしていきたいと思います。

〇こけしの系統

土湯系

3大こけし産地のうちの一つで、比較的古い歴史を持っています。
頭は小さく、頭頂部には「蛇の目」と呼ばれる黒い円が描かれ、目は二重のくじらのような目をしています。
前髪の両脇には「かせ」と呼ばれる飾りが描かれます。
胴体は細く、しま模様(通称・轆轤線)が描かれています。

産地は福島県土湯温泉、飯坂温泉、福島市などがあります。

飯坂温泉のこけしは太い轆轤線と平たい頭が特徴だな。

中ノ沢系

2018年に土湯系から独立した、こけしの中で一番新しい系統です。
「たこ坊主」の愛称で親しまれる、歌舞伎役者のようなこけしです。
写実的な目をしていて、目の周りは赤く隈取がされています。
頭は大きい反面胴体は細く、轆轤線や牡丹の花などが描かれます。

産地は福島県猪苗代町、郡山市、会津若松市などがあります。
発祥は中ノ沢温泉ですが、現在は中ノ沢温泉では作られていません。

どういう訳か、女性ファンが多い印象だな。

弥治郎系

伝統こけしの中では一番温暖な気候の場所で発展したため、開放的な作風で知られます。
頭は大めで、頭頂部にはベレー帽のような、さまざまな色の轆轤線が描かれます。
胴体はくびれがあるものが多く、カラフルな轆轤線や着物のような模様が描かれます。

産地は宮城県白石市、弥治郎集落、福島県の熱塩温泉やいわき市などで作られます。

顔立ちが優しいものが多くカラフルだから、こけし初心者や若い人、外国人に安心してお勧めできる子が多いな。

遠刈田系

3大こけし産地のうちの一つで、古い歴史を持っている美人こけしです。
頭は大きく、三日月のような目と、頭頂部には「手柄」と呼ばれる放射状の模様が描かれます。
胴体は細いなで肩で、胴模様は木目模様や「重ね菊」と呼ばれる菊の花、轆轤模様や井桁模様など、多彩です。

産地は宮城県遠刈田温泉や仙台市、秋保温泉で作られます。

胴模様の種類は多くて、個人的に一番華やかな系統だと思っている。

作並系

今現在判明している中では一番歴史が古いと言われている系統です。
子供が握りやすいように胴体が細いのが最大の特徴で、胴体にはカニによく似た菊(通称:カニ菊)が描かれます。
仙台の市部で発達した作並こけしは、赤と黒の2色で描かれるのが特徴です。

産地は仙台市の作並温泉、秋保温泉で作られています。

強面だが子供にやさしい、ギャップの大きさが魅力だな。

鳴子系

3大こけし産地のうちの一つで、こけしの産地では最大規模を誇ります。
首は摩擦熱を利用したはめ込み式で、首を回すと「キュッキュッ」という音が鳴ります。
水引きで結んだような前髪に、一重まぶたが特徴の顔立ちです。
胴体はなだらかにくびれていて、肩のような段が付いています。
菊の花や牡丹の花、楓などが描かれます。

産地は鳴子温泉で作られます。
山形県の銀山温泉、秋田県の由利本荘市、青森県の大湯温泉など鳴子温泉以外で作られる鳴子こけしは「外鳴子」と呼ばれます。

大半の人はこけしと言われれば真っ先に鳴子系を思い浮かべるだろうな。

南部系

元々はおしゃぶりから発展した、異色のこけしです。
首はゆるいはめ込み式になっていて、頭がくらくら動きます(方言では「キナキナ」と呼ばれる)。
描彩のないものが多く、あったとしても遠刈田系や鳴子系をインスパイアした簡素なものになっています。

産地は岩手県盛岡市、花巻市で作られています。

最初はまさかこれもこけしに入るとは思ってもいなかったな。

蔵王高湯系

遠刈田系の影響を受けて作られたこけしで、共通点も多いです。
頭頂部には太陽を思わせる赤い手柄があり、おかっぱ頭のこけしもいるのが特徴です。
胴体は太くグラマーな印象で、重ね菊や桜を崩した模様(通称:桜崩し)、牡丹などが描かれます。

産地は山形県蔵王温泉、山形市、米沢市、天童市などです。

胴体は太いが、重心は高いから地震が心配だな

山形系

作並系とは近縁の系統で、作並系同様胴体は細くなで肩で、子供が握りやすい形をしています。
胴体には梅のような花や、紅花などが描かれます。
頭は小さく、目は吊り上がった二重まぶたが特徴です。

産地は山形市、米沢市で作られます。

12系統の中では唯一の都会育ちだ。
山形市はラーメン屋が多いからいいぞ!!

関係ないよね!
でもラーメンは確かにおいしいね。

肘折系

遠刈田系と鳴子系が融合して生まれたこけし。
遠刈田系を思わせる三日月型の目に大きな頭、鳴子系を思わせる肩に段が付いた形状が特徴的です。
肘折特有のものとして、写実的な唇が挙げられます。
まっすぐな胴体に立ち菊、重ね菊、撫子、石竹などが描かれます。

産地は山形県肘折温泉ですが、後継者が埼玉県鳩山町にもいらっしゃいます。

12系統の中では一番工人の人数が少ない系統だから、廃絶が心配だ。

たった2人というのも心細い。

木地山系

秋田県木地山集落で独自に発展したこけしです。
頭はラッキョウ型で、胴体と一体型の作り付けです。
胴は太く安定感があり、着物の前垂れや梅模様、縦縞模様などが描かれる古風なこけしです。

産地は秋田県湯沢市(川連地区に多い)、横手市で作られています。

私がこけしを集めるようになったきっかけも木地山こけしなんだよなぁ。

津軽系

頭はおかっぱで、頭頂部は中剃りと呼ばれる赤い円が描かれることが多いです。
胴体はねぷたを思わせるだるま絵や、津軽氏の家紋である牡丹の花、縄文土器を思わせる模様(通称:アイヌ模様)などが描かれます。
伝統性よりも個人性や風土に合っているかどうかを重視する傾向があり、作り手によって個性が出やすいのも特徴です。

産地は青森県温湯温泉、大鰐温泉、弘前市などで作られています。

中ノ沢系が独立するまでは一番新しい系統だったとか。

余談

ちなみに、中には土湯系と中ノ沢系を混同したものや、作並系と山形系を混同した媒体もあります。

中には12系統に収まりきらない「独立系」と呼ばれるこけしも存在します。

まとめ

こけしは12系統がありますが、系統にとどまらず家柄や工人によって一体一体違う個性があります。
この中にお気に入りのこけしが見つかれば幸いです!!

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