前回更新から大分間が開いてしまいましたね…
私生活が忙しかったんだ…
というわけで、30年ほど続いた美轆展が今年で解散するとのことなので、最後を見届けるために土湯温泉に行ってきました。
美轆展って?
時は1991(平成3)年、土湯系こけし工人・陣野原幸紀工人の呼びかけで結成された(当時の)若手工人の集いで、こけし工人の親睦と創作意欲の向上につとめることを目的とした会です。
また、年に一度こけしの即売会を開き、こけし愛好家との親睦も深めていました。
しかし、工人の高齢化などで集まることが難しくなり、今年で正式に解散が決定しました。
会場レポート
会場の写真を撮り忘れていたから、大半が文字のみのレポートにするぞ!!
開場前
美轆展の舞台は福島県・土湯温泉の湯愛舞台。
湯愛舞台は土湯温泉をはじめとする近隣観光地の情報発信拠点施設です。
よく見ると新しいホテルが建設されています。
震災でダメージを負いましたが、負けじと変わりゆく土湯温泉街。
入り口にはこけしちゃんの石像がずらりと並んでいます。
窓際にはこけしちゃんが並ぶ!!
もうすでにこけしまみれなのです。
私は7時ころ現地入りしたのですが、この時すでに約25人ほどのこけし愛好家さんがいました。
こけし愛好家さんは顔見知りの人が多いようで、思い思いこけし談義をはじめ、まだ美轆展が始まっていないのに和気あいあいとした雰囲気でした。
私も見知らぬ愛好家さんに親切に声をかけていただいた。
出会いに感謝!!
開場1時間前には50名ほどの愛好家さんが集まりました。
しかし、いつもと比べると人数は少なく感じました。
そして開場!!
会場の混雑を防ぐため、10人ずつの入場となりました。
おかげで、大きな混乱はなくこけしを選ぶことができました。
この日の人気はtsuN’agaru持ち込みブースの石川美祈子工人のこけしちゃんでした。
本数制限があったにもかかわらず、私が入場した時にはもうすでに大半の子がお迎え済みでした。
私も工人さんにご挨拶をした後、こけしを選びました。
そして、選んできた子がこちら。
吉田勝範工人の子。
はい。ざんばらこけしが好きなんです。
家にも数本あるのですが、同じ型を並べるのもこけし蒐集の醍醐味なのです。
元からあったざんばらこけしと並べてみる。
凛とした佇まいと、華やかな胴模様が好きなのです。
湯愛舞台探索
会場を後にして、湯愛舞台を探索することに。
棚にはびっしりとこけしちゃんが並んでいました。
系統ごとに並ぶこけしちゃん。
土湯温泉探索
マンホールは土湯こけし!!
特大こけしちゃんと顔はめパネル。
山根会津屋
会場を後にして、やってきたのは渡辺忠雄工人のお店・山根会津屋さん。
土湯温泉には何度か行ったことがあるのですが、忠雄工人がレジェンド過ぎて雲の上の存在だと思っていたので、一度もお店に入ったことはありませんでした。
しかし、美轆展で並んでいる時、ベテラン収集家さんから「渡辺忠雄工人のお店に行ってみたほうがいい」とおすすめされ、勇気を出して行ってみることにしました。
ちなみに、忠雄工人は今年で御年85歳の大ベテラン!!
こけしに対する愛情や気力は若手や中堅工人には負けていないのですが、体力の衰えや怪我の影響で、こけし作りからは遠ざかっているとのことでした。
店内では忠雄工人はもちろんのこと、娘さんやベテラン蒐集家さんに親切にしていただきました。
忠雄工人からは青葉こけし界の思い出をお話ししていただいたりと、いろんなことを教えて頂きました。
これからもお元気で、長生きしてください!!
連れてきた子。
胴模様の色使いに惚れこんで、連れてきました。
忠雄工人の色彩感覚は全こけし工人の中でも特に優れていると思うのです。
むん!とした、自信ありげな表情も好ましいと思うのです。
包装紙。
土湯温泉街の地図が素朴なタッチで描かれています。
そして、ありがたいことにポストカードを頂きました。
全4種類あったのですが、今回はえじこちゃんをチョイス。
ぷっくりとした顔立ちで、愛らしい子です。
そして、やはりカラフルな色使いが目を引きます。
これだけたくさんの色を使っているのにもかかわらず、けばけばしさが一切なく、おしゃれにまとまっているのは、忠雄工人の色彩感覚が優れているからだと思うのです。
足湯カフェ・キャスバル
時は11時半。
少し早い昼食は足湯カフェ・キャスバルさんで頂きました。
足湯は源泉かけ流しで、若干ぬるめのお湯でした。
ずっと足湯に使っていても疲れない、心地よい湯加減でした。
今回はカレーセットをチョイスしました。
見た目に反して辛口で、辛党の私からすればラッキーでした。
そして、店内にはこけしちゃんが潜んでいました。
店主さんは私が美轆展帰りのこけし愛好家だと知ると、こけしの解説をしていただきました。
特に詳しく説明していただいたのは、名工・佐藤佐志馬工人のこけしちゃん。
このこけしちゃんは特大サイズで、成長期に牛乳でも飲み過ぎたのだろうかと思ってしまいました。
瀧の音で日帰り入浴
続いて訪れたのはホテル瀧の音。
いつもは共同浴場で日帰り入浴を楽しんでいましたが、今回は趣を変えて日帰り入浴可のホテルのお湯を楽しみました。
ありがたいことに、シャンプーバイキングが楽しめる温泉で、頭をさっぱりさせてから入浴。
浴槽は小さめで、温泉は良く言えばクセがなく、土湯温泉らしいお湯でした。
源泉かけ流しなのでお湯は新鮮で、ありがたく入浴しました。
露天風呂もついていましたが、小さいうえに四方を壁に挟まれ、天井には屋根がついていたので、露天風呂気分は味わえませんでした。
全身きれいさっぱり、体を温めた後、土湯温泉を後にしました。
西田記念館
続いて、西田記念館にやってきました。
西田記念館は車がないとアクセスが難しいのですが、バス時間を念入りに調べた上で気合で行ってきました。
西田記念館はこけし研究会の重鎮・故西田峯吉先生のコレクションを展示する、こけし美術館です。
館内撮影禁止だから、外観の写真しかないぞ!!
しかも西田コレクションの保存状態は極めて良好で、色褪せもあまり見られませんでした。
少々ネガティブな意見になりますが、日本こけし館の深沢コレクションは色褪せや日焼けが気になっていたので、古い戦前のこけしちゃんを美しい状態で保存できているのは西田記念館くらいだと思います。
職員さんの知識レベルや熱意も高く、この日はこけしちゃんのルーツについて教えて頂きました。
福島の木偶人形や三春張子は、表情や形態がこけしちゃんそっくりでした。
また、会津漆器に描かれる模様はこけしちゃんの胴模様そっくりで、まさか漆器の模様をインスパイアしていたとは想像すらしていませんでした。
この日は小さなこけしの魅力についての特別展示がされていました。
館内には1寸にも満たない小さなこけしが勢ぞろいしていました。
職員さん曰く、昔の子供たちのお供であるこけしは小さいものが多く、コンクールでよく見かける8寸や1尺サイズのものは大人の観賞用としての目的で生み出されたと知りました。
よく考えると、近年現れたこけ女さんたちは小さなこけしちゃんを好んでいることから、こけしちゃんは本来あるべき姿に戻っているのではないかと思いました。
こけしちゃんを手にしたときのこけ女さんは、少女時代に戻っているのです。
閉館時間ギリギリまでこけしちゃんを楽しみました。
帰り道、徒歩でバス停に向かっている途中、逆ヒッチハイクされかけたのはここだけの話です。
車のない人は、西田記念館に行くときはレンタカーを借りていくことをお勧めするぞ!!
まとめ
今回はいろんな人から様々なことを教えて頂けた旅でした。
改めて、出会いに感謝です!!
そして、美轆展に携わった皆様、今までありがとうございました!!
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